少しづつではあるが、木の芽、草の芽も膨らんでくるこの頃、もう山気に春は兆している
とは言え、まだまだ春と冬が行ったり来たりの英彦山です。
今日はそんな英彦山に春を呼ぶ神事、英彦山神宮「潮井採り」の出立ちの日でした。
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宮司をはじめ、神官、氏子総代がうち揃い奉幣殿で出立ちの神事を行い、9時ちょうどに
法螺貝を吹きつつ参道を下り出発です。
英彦山神宮の古から伝わる神事の一つが、「潮井採り」です。
毎年2月末日(旧暦の正月26日)に、英彦山の「松会祈年祭」の行事のために、今川、祓川流域の
九里八丁(39キロ)の道を辿り、行橋市沓尾海岸・姥が懐(うばがふところ)で禊をする。
その潮水を竹筒に汲み英彦山に持ち帰り、山内を清める神事が平安時代から連綿と続けられている。
英彦山の家々では、出立ちの一行を見送る。
京都平野の道中の里では、英彦山からの山伏を「やんぶしさん」と呼び、酒迎えの座を設け
五穀豊穣を祈り「貝伏せ」をしてもらい、無病息災を祈願する。
今でもそれは、作法通りに厳粛に守られている。
青々とした竹の潮井筒に沓尾海岸・姥が懐(うばがふところ)で汲み取った潮水を
持ち帰り、山内を清め一年の始まりとします。
一行の帰山は、三月一日のとっぷりと日も暮れた頃。
山から平野そして海へと人々をつなぎ、季節を告げて来た潮井採り。
吹き鳴らされる法螺貝の音は、英彦山に春を呼ぶ伝統の神事でもあります。
★ つれづれに一句
守り継ぐ 千年神事 春を呼ぶ yamahiko
・まもりつぐ せんねんしんじ はるをよぶ