2020年09月30日

彦山街道は

9月30日(水)

昨日はあまりの天気の良さに、野峠を下り耶馬溪へフラリと出掛けた。
到着したのは中摩殿畑山の麓、彦山街道の途中奥谷集落にある「雪舟庭園」。

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ここには樹齢500年と伝わるウスギモクセイがあり、毎年英彦山のそれと同じころに咲き、
見上げるほどの古木だが、まだまだ勢いがあり香りを放っている。

集落添いには、かつて英彦山詣りで人が行き交った「彦山街道」とも言われる道があり、津民、
守実、槻木、薬師峠、豊前坊、英彦山へと繋がり、その昔は大層な賑わいだったそうな。

人の行き来があれば、風物や文化の交流が生まれるもので、今に語り継がれ、引き継がれている
このウスギモクセイにも、英彦山との繋がりをみるようです。

そして、この奥には雪舟作と伝わる古庭園がある。

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この庭は奥谷の旧家吉峯家所有であり、代々守られてきた。


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昭和39年、古庭園研究の第1人者である重森三鈴氏一行が来訪し、常栄寺庭園(山口県)、
亀石坊庭園(英彦山)と共に雪舟作の庭として公表されて以来、世間から認識され始めたという。

昨日もご当主夫妻で出て来られて、縁側で庭の説明やらこの集落の昔語りを聞かせて戴いた。
有り難うございました。

★ つれづれに一句

  恙なき 暮らしを今に 秋日和り   yamahiko
   ・つつがなき くらしをいまに あきびより


英彦山の雪舟作と伝わる亀石坊庭園と、「彦山街道」沿いにある庭。
この街道沿いには、英彦山との繋がりを物語る足跡がもっとあるかも知れない。







posted by yamahiko at 10:57| 史跡ご案内

2020年09月29日

ウスギモクセイ、放映

9月29日(火)

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英彦山のウスギモクセイ、テレビでも放映して戴きました。
NHKテレビ。

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FBSテレビ。

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取材お願いから始まり、現場の撮影から放映まで天候やテレビ局の都合など、何かと気疲れ
するもので、特にキンモクセイ類は花期が短かく、それでもこれでヤレヤレというところ。

有り難うございました。




posted by yamahiko at 19:45| メディア

2020年09月28日

澄む水に

9月28日(月)

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朝からの煌めく日差しの中で、赤とんぼもキラキラだ。
よほどこの水辺が気に入っているのか、スイスイとやって来てはピタリと留まる、
という事を繰り返している。


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こっちを向いてくれたら好いのに、なんて思ってしまう秋の日差しの中。


★ つれづれに一句

  澄む水に 山の日差しの 濃かりけり   yamahiko
    ・すむみずに やまのひざしの こかりけり



posted by yamahiko at 14:51| 歳時記

2020年09月26日

タンナトリカブト

9月26日(土)

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英彦山に秋の花が次々に咲く頃、タンナトリカブトもその一つです。
トリカブトと云えば猛毒で知られていますが、紫色の花はランを思わせるような
妖しい美しさですね。


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その昔山伏さんが、この植物を「薬草」として用いるために他から持ち込んだのでは・・・、
とも云われている英彦山のトリカブト。
僅かなさじ加減で、毒も使いようでは薬になると言われますね。

英彦山は薬草が豊富で、山伏達は生薬作りにいそしんでいた。

その中でこのトリカブトを絶妙なさじ加減で調合して、有効に利用していたのだろう。
薬草の知識に精通している山伏が作るこれらの生薬は、人々の人気を集め口伝とされる
調合法があったという。
「財蔵坊」には、山伏たちが当時使っていた製薬道具が展示されていて、その昔を
偲ぶことができる。

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★ つれづれに一句

   毒持てる 花の妖しさ 鳥兜    yamahiko
    ・どくもてる はなのあやしさ とりかぶと










posted by yamahiko at 19:59| 植物・秋

2020年09月25日

英彦山のトチの実は

9月25日(金)

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トチの実を拾ってきた。
コロコロとしたこの愛嬌がある形が気に入って、毎年この時期には思わず拾ってしまう。

英彦山にはトチの古木が何本かあるが、この樹は元来英彦山にはないもので、かつて
一帯に棲んでいた木地師たちが植えたものではないかと云われている。

木地師とは、その昔トチ・ケヤキ・タブ・などを轆轤(ろくろ)を使い、椀などの木工製品を
作ることを生業としていた職人集団の事で、日本全国の山中にその材料を求めて散らばっていたと
いいます。
明治初期までは、全国各地で朝廷・幕府の許可を受けた木地師達が、良質な材木を求めて
20〜30年単位で山中を移住していたという。
英彦山のトチの樹は、その痕跡を物語るという事になります。

英彦山の麓の集落、唐ヶ谷にある筒井神社。
そこの境内にあるトチの樹は、樹齢を誇り県の天然記念物にも指定され、毎年この時期に
なると、沢山の実をつけている。

そして、豊前坊のトチの樹。

栃の実の つぶて颪や 豊前坊    久女
     ・とちのみの つぶておろしや ぶぜんぼう

英彦山をこよなく愛した女流俳人杉田久女は豊前坊を訪れ、折しも秋本番の頃のトチの実が
しきりに落ちるその様をこのように詠んだ。
この句のおかげで豊前坊のトチの樹はすっかり有名になり、境内の句碑を訪ねて来る人や、
有難く実を拾って持ち帰る人たちが、この時期には多くなる。

落ちているトチの実一つにも、秋の深まりを感じるこの頃です。

★ つれづれに一句

  訪ね来て 句碑の心に 触るる秋    yamahiko
    ・たずねきて くひのこころに ふるるあき







posted by yamahiko at 22:03| 植物・秋