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先日英彦山の智室窟へ行ったので、史跡巡りがしたくなり耶馬溪の競秀峰へ。
ここは菊池寛の小説「恩讐の彼方に(おんしゅうのかなたに)」のモデルとなった
「青の洞門」が有名なスポットです。
かつては難所で遭難者が絶えなかったこの地を、江戸時代の僧・禅海はノミと槌だけを使って
岩壁を掘り、30年もの歳月を経て貫通させたという。
そこに聳える奇岩の景勝はただ眺めていては、その真贋は分からない。
一歩その中に足を踏み入れると、時間が止まったような世界に引き込まれた思いになり、
最近はパワースポットとしても人気を集めているという。
登り口は3ヵ所あるが、今回は洞門橋側から取り付くことにしよう。

ノミの跡が残る洞門を少し歩き取り付くと、たちまち様相は変わり森閑とした林の中となるが
標識も整えられて安心して進めば好い。
岩場伝いの細い径も、踏みしめられている。
妙見窟に到着。
妙見窟はこの一帯の中心的な行場であったらしく、かなりの広さで一角にある「妙見宮」には
妙見菩薩が3体、男女神像2体、如来立像が1体安置されて、平安時代のものと伝わる。
耶馬渓の羅漢寺を中心にした信仰圏の一つが、ここ競秀峰であり修行者だけではなく、人々も
通った聖域です。

山水が染み出した谷々には、サツマイナモリが群生している。
清水洞。
今でもコンコンと清水を湛えておりこういう場に立つと、信仰者でなくても神妙な気持ちに
なるもので、長年の風雪に耐え、人々の思いが込められているような、英彦山の窟にもある
「気」を感じる。
その昔豊前地方には「宇佐・羅漢・彦・求菩」という言葉があり、それぞれを参拝して、
後生の安泰を願ったという民間信仰です。
その中の耶馬渓の羅漢寺を中心にした信仰圏の一つが、ここ競秀峰であり修行者だけではなく
人々も通ったことだろう。

陣の岩を目指して、どんどん進もう。
鎖がしっかりと取り付けてあり、標識も目立つので初心者にも歩き易いはずだが、万全の注意で
進む岩場もあり、特に雨上がりなどは気を付けないといけないだろう。
「三陣の洞」を見ながら小休止、そして最後は鎖場を登り切ると「陣の岩」に到着。

見晴らしが良いですね、ゲンカイツツジはまだ蕾。
眼下には、青の洞門と山国川が広がる。
山国川上流を見る、遥か奥にはこの流れの母なる山・英彦山です。
★ つれづれに一句
見えざりし 母なる山を 望む春 yamahiko
・みえざりし ははなるやまを のぞむはる
さて帰りは、弘法寺の方へ下ることにしよう。

下山すると、里の花たちが出迎えてくれた。
お疲れさまでした。